「インバウンド」の言葉をニュースや新聞、ネットで知ったことがあると思いますが、実際に深く考えたことはないかと思います。
今回は「インバウンド」に関して勉強しましょう!
インバウンドとは
2020年のコロナウイルスが日本に大打撃!
2020年5月の訪日外国人観光客数は対前年度月比99.9%減(日本政府観光局調べ)です。
1~5月までの累計でも、71.3%減となっています。
訪日外国人観光客需要の拡大を成長の頼みとしてきた企業や業界にとっては、このインバウンド消失による喪失感は計り知れません。
たとえば百貨店業界。
百貨店協会によれば、20年1月の免税総売上高は対前年同月比20.9%増だったが、2月以降は一気に数字を落とし、5月に至っては同97.5%減という悲惨な状況です。
2020年時点は、ドン底ですが、だからこそ、ここで過去を振り返り、今後を見据えた勉強をしましょう!
過去の日本の現状(訪日観光客)
2017年の訪日外国人観光客の数は、2869万人
2012年が836万人だったので、5年で4倍に迫る勢いですね。
当時の日本政府は、「2020年に2000万人」という目標を掲げていたのを「2020年」までに4000万人」に上方修正して「消費額を8兆円」としました。
が・・・2020年は新型コロナウイルスが発生、4000万人どころか、1000万人にも満たない厳しい現状になっているのです。
日本のインバウンドは、まだまだ伸びしろを秘めている!
2016年に日本を訪れた外国人観光客の数は、2404万人でした。世界では第16位。
2013年の第27位から11も順位を上げています。
世界の主要観光立国の欧米諸国や中国は、5000万から8000万人であるのと比べると、日本の約2400万人はまだまだ伸びしろがあると言えますね。
世界の観光立国と肩を並べていた日本?
日本は世界の観光地とほぼ同時期にインバウンドに取り組んでいた!
1893年(明治26年)、日本の観光は、世界に先駆けて外客誘致専門機関「貴賓会」をスタート。
この貴賓館は、2024年度に新一円札の肖像画の渋沢栄一が、国際観光事業の必要性と有益性を唱えたことで設立され、海外からの要人を多数迎え入れました。
さらに、1912年(明治45年)には、後に日本交通社、JTBとなるジャパン・ツーリスト・ビューローが創立、外国人観光客誘致論を展開しました。
明治中期の日本は、世界の名だたる観光立国と比べても遜色ないほど進んでいたのですね!
【日本のインバウンドの歴史】
1854年:日米和親条約締結(鎖国時代の終了)
1866年:ローザンヌ・ツーリズム&コンベンションビューロー設立(ヨーロッパ初の観光協会)
1883年:外国からの要人を接待する施設「鹿鳴館」完成
1889年グルノーブル観光協会設立(フランス初の観光協会)
1893年:外客誘致専門機関「貴賓会」がスタート
1896年:デトロイト・コンベンション&ビジネスマンズリーグ設立(アメリカ初の観光協会)
1912年:ジャパン・ツーリスト・ビューロ-創立
なぜインバウンドが注目されるのか?
日本では、ここ数年、インバウンドビジネスに取り組む企業や自治体は増加の傾向です。
雑誌やインターネット、テレビのメディアもインバウンドを頻繁に取り上げています。
なぜインバウンド市場が注目を浴びるのか?理由は4つ!
理由その①:日本の人口減少
日本の人口減少で日本国内の事業展開では、減収が目に見えており、成長はおろか現状維持もままならない状態である。そんな状況であれば、国外の顧客展開は自然の流れです。
理由その②:世界の旅行市場
世界全体の観光客数は、2010年の9.4億人から2019年の13億人と約1.5倍の伸び率。特にアジア・太平洋区域が一番の伸び率で日本も含まれます。
日本にも多くの需要があることが今後も予測されることから、世界の旅行市場に目を向けるのは当然ですね!
理由その③:訪日外国人数の増加
日本に訪日する外国人は、年々増加傾向にあり、また、政府の掲げていた予想をはるかに上回る傾向です。2020年の新型コロナウイルスの影響はあれど、日本観光の価値はまだまだ外国人に需要があるため、V字回復が予測されます。
理由その④:訪日外国人の消費動向
外国人観光客の旅行支出は、1人あたり15万円強で、日本人国内支出3万円強の約5倍に!
消費を見ても外国人観光客をターゲットにしたい訳ですね!
以上の4つの理由から、今後も伸びる外国人観光客市場を企業や自治体がすでに取り組んでいるのですね!
インバウンドの現状を知りたいなら日本政府観光局
日本政府観光局とは
政府観光局とは、主要な市場に海外事務所等を設置し、外国人旅行者の誘致活動を行う政府機関のことで、世界の主要な国々が政府観光局を有して、熾烈な外客誘致競争を展開しています。
日本政府観光局(JNTO:Japan National Tourism Organization、正式名称:独立行政法人 国際観光振興機構)は、東京オリンピックが開催された1964 年、我が国の政府観光局として産声をあげ、50年間にわたって訪日外国人旅行者の誘致に取り組んできた日本の公的な専門機関です。
JNTO は、世界の主要都市に海外事務所を持ち、日本へのインバウンド・ツーリズム(外国人の訪日旅行)のプロモーションやマーケティングを行っています。
【日本政府観光局ホームページ】 https://www.jnto.go.jp/jpn/business/inbound/index.html
まとめ
今後の日本は人口減少に伴い、外国人観光客をターゲットとした観光産業の需要が見込まれます!
2020年のコロナ禍があれど、歴史が物語るとおり、いずれ収束に向かいます。
しかし、この収束までが資金的に耐えられるか。
インバウンドは、外国人観光客をターゲットにしていることから、2020年のコロナウイルスは、一つのインバウンドビジネスの弱点だったことは明らかになりましたね。
【追記】
2020年7月以降、段階的に人の往来再開に向けた措置が取られ、ビジネス目的や留学などでの入国が限定的に再開されましたが、観光目的の入国はいまだ認められないままです。
さらに、英国で流行している新型コロナウイルス変異種が日本でも確認されたことから、政府は昨年末、例外的に認めていたビジネス関係者らの往来も停止しました。
2020年は、インバウンドの恩恵が殆ど得られなかった結果となりました。
【補足】
2021年5月現在、変異株が流行の日本と抑止でいている台湾との格差に関する興味深い記事がありましたのでリンクを貼っておきますね!
「インバウンド需要全滅」の日本と台湾で、経済成長に大差がある3つの理由
【このブログ記事を書いた人の自己紹介】
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「インバウンド」の本来の意味は「入ってくる」というもので、マーケティング用語として使われています。
「インバウンド」に対し、「アウトバンド」という言葉もあり、日本人が海外に出国することすべてを指します。
レジャー目的の旅行やビジネス出張や国際会議、親戚や友人を訪問するVFR(Visiting Friends and Relatives)と言った目的をもった人も含みます。