「残酷すぎる幸せとお金の経済学」
この本にはお金と幸せの関係が凝縮されています。
仕事、勉強、子育て、結婚生活など・・・すべて共通するのは「お金と幸福感」が必ず絡んでいること。
この記事は、「残酷すぎる幸せとお金の経済学」の本をまとめたものです。
著者紹介
【著者紹介】[著]佐藤 一磨(さとう・かずま)
拓殖大学政経学部教授。1982年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業、同大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(商学)。外資系経営コンサルティング会社、明海大学を経て、2016年から拓殖大学政経学部准教授に就任し、2023年から教授。専門は労働経済学・家族の経済学・幸福の経済学。既婚、一児の父。
幸せな人と不幸な人は、何がちがうのか?
「幸せ」は人によっても感じ方が違う主観的、抽象的な概念なので、かつては哲学や倫理学、心理学の研究対象でした。しかし、近年は新たな分析手法が次々に開発されて、経済学の観点から新たな研究結果がこの30年間に次々と発表されています。
しかし、研究でわかった“幸せの正体”は、直視しがたいショッキングなものでした。
・子なし女性より子持ち女性のほうが幸福度は低い
・専業主婦より妻が管理職の夫のほうが幸福度が低い
・夫は妻より幸せになれない
・人生の「幸せのどん底」は48.3歳でやって来る
・経済成長すると子どもの幸福度は大幅に下がる
本書では、結婚や育児、きょうだい構成、出世、学歴といったライフステージごとに幸福度はどう変わるのかを、「幸福の経済学」のアプローチからデータ分析。気鋭の経済学者が、現代人の「幸せの正体」を最新エビデンスからひも解く1冊です。
要約
幸せはお金で買えるのか
「幸せ」は、もともと哲学や倫理学などの分析対象だったが、1990年代以降に経済学でも分析されるようになってきた。この分野、すなわち「幸福の経済学」は、私たちの幸せを統計的に分析し、幸せに影響する要因を明らかにしていく。
そしてここ30年間で、幸福の経済学の研究によって、幸せに関する様々な事実がわかってきている。その興味深い分析結果を紹介していこう。
幸せは1000万円で頭打ち
最初のテーマは、「お金と幸せ」である。
年収と幸福度に関しては、2010年に公表された、2人の研究者による有名な論文がある。著者はプリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授とアンガス・ディートン教授で、共にノーベル経済学賞受賞者である。この2人の分析結果は、非常に興味深いものだった。
彼らはギャラップ社が実施した調査を用い、年収と幸福度の関係を分析した。その結果、「年収が6万~9万ドル(約840~1260万円)になるまで幸福度は上がり続けるが、それ以上になると幸福度が上昇しなくなる」ことを明らかにした。
彼らの分析結果は、「幸せになるには7.5万ドル(6万ドルと9万ドルの中間の値。約1000万円)まで稼げばいい」という明確なメッセージとなり、その後の研究に大きな影響をもたらした。
最新の研究では、お金があるほど幸福度も高い
しかし、この研究結果は覆されることになる。
2023年、カーネマン名誉教授はペンシルバニア大学のバーバラ・メラーズ教授らとともに、新たな研究を発表した。この研究でも年収と幸福度の関係に注目しているが、以前とは違った結論となった。端的に言えば、「年収が7.5万ドル以上になっても、幸福度は伸び続ける」というものだ。
より正確には、幸福度が低いグループと幸福度が高いグループに分けて分析した結果、前者では年収と幸福度の関係がある一定で頭打ちになるが、後者では年収の増加とともに幸福度の上昇傾向がさらに強まる、という結果だった。幸福度が高いグループでは、年収が10万ドル(約1400万円)以上になると幸福度の伸びが加速していた。
実は近年、幸福度が低いグループと高いグループでは、学歴や健康、就業状態といった様々な要因の影響が異なることが明らかにされており、カーネマンらの研究もその流れの1つと言える。
所得格差は幸福度格差につながるのか?
「お金持ちほど幸せになれる」ということは、社会の一部の富裕層が高い幸福度を実感し、それ以外の人々は低い幸福度となることを意味する。
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本書の【目次】
はじめに
序章 「幸せ」の測り方
第1章 幸せはお金で買えるのか──お金と幸せの経済学
・幸せは1000万円で頭打ち
・経済成長しても幸福度は上がらない
・経済成長すると子どもの幸福度は低下する
第2章 出世すると幸せになれるのか──仕事と幸せの経済学
・健康な人ほど昇進するがメンタルを病む
・管理職に昇進しても幸福度は上がらない
・妻が管理職だと夫の幸福度は低い
第3章 結婚したら幸せになれるのか──結婚と幸せの経済学
・独身男性の幸福度が最も低いワケ
・「妻が高学歴」だと世帯年収が低い
・自分より若い相手と結婚したほうが幸せ
第4章 「子どもがいる女性ほど幸福度が低い」のはなぜか──子育てと幸せの経済学
・子どものいる女性のほうが生活満足度が低い
・子どものいる高齢者は生活満足度が低い
・欧州でも「孫育て」でメンタルヘルスが悪化
第5章 離婚したら不幸せになるのか──離婚と幸せの経済学
・熟年離婚の男女間格差
・夫は妻より幸せになれない
・経済学でわかる「離婚しないタイプ」とは
第6章 「家族ガチャ」で人生は変わるのか――きょうだい構成と幸せの経済学
・弟がいる長女vs妹がいる長女
・なぜブラザーペナルティが生じるのか?
・弟がいる長女の年収は16%低い
第7章 なぜ日本の男性は幸福度が低いのか――男と女と幸せの経済学
・環境は改善しても幸福度が下がる〝パラドックス〞
・日本では男性の幸福度が低下している
・幸福度が低いのは高齢未婚&子育て期の男性
第8章 「幸せのどん底」は何歳でやって来るのか――年齢と幸せの経済学
・人生の中で幸福度が最低なのは48.3歳
・未婚の子との同居は高齢親の幸福度を下げる
・独居高齢の幸福度は、男性は低いが女性は高い
最終章 経済学が導き出す「幸せの条件」とは
・経済学が導き出す「幸せの条件」とはおわりに
動画で解説
【動画:残酷すぎる幸せとお金の経済学①】
【動画:残酷すぎる幸せとお金の経済学②】
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まとめ
年収と幸福度に関しては、2010年に公表された、2人の研究者による有名な論文がある。
彼らの分析結果は、「幸せになるには7.5万ドル(6万ドルと9万ドルの中間の値。約1000万円)まで稼げばいい」という明確なメッセージとなり、その後の研究に大きな影響をもたらした。
しかし、この研究結果は覆されることになる。
正確には、幸福度が低いグループと幸福度が高いグループに分けて分析した結果、前者では年収と幸福度の関係がある一定で頭打ちになるが、後者では年収の増加とともに幸福度の上昇傾向がさらに強まる、という結果だった。
幸福度が高いグループでは、年収が10万ドル(約1400万円)以上になると幸福度の伸びが加速していた。
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